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就業規則の周知と考え方

もし就業規則がきちんと作成されているとして、その作成した就業規則はどのように取り扱われているでしょうか。中には、作ったきり「経営者の机の引き出しに入りっぱなしになっていて従業員はその存在すら知らない(周知されていない)」という会社もあるようです。
さて、こうした「周知されていない就業規則」の有効性が問題となった「フジ興産事件」という判例を見てみましょう。

フジ興産事件概要

 得意先の担当者の要望に十分応じず、トラブルを発生させたり、上司の指示に対して反抗的態度をとり、上司に暴言を吐くなどして職場の秩序を乱したという従業員を就業規則の定めにしたがって懲戒解雇した事例です。
原審では、懲戒解雇は有効とされていましたが、最高裁は「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する。そして、就業規則が法的規範としての性質を有するものとして拘束力を生ずるためには、その内容の適用を受ける事業場の労働者に周知させる手続きが採られていることを要する」と判断しました。


この判例が示しているのは、就業規則をせっかく作成しても、従業員にきちんと周知しなければ結局会社を守るリスクヘッジという点で役に立たないということです。これは就業規則が従業員との契約書であることを考えれば当然ともいえますが、経営者はきちんとこの点を肝に銘じ、就業規則の周知に努める必要があるでしょう。

せっかく周知するなら〜就業規則活用法〜

さて、せっかく作成した就業規則はきちんと従業員に周知しなければリスクヘッジとしての役割を果たせないことは分かりました。
 いずれにせよ従業員に周知しなければならないとすれば、もともと「経営者が従業員に周知したい」と考えていることも一緒に書くことによって積極的に労務管理上の効果を期待することはできないでしょうか。

会社を経営するにあたっては、ほとんどの会社に「なぜ会社を作ったのか」「会社の使命はなんなのか」といった経営理念や経営方針、または社是・社訓といったものが存在すると思います。会社の組織や役職の形はどうあるべきか、会社の仕組みはどのようなものがふさわしいか、従業員の処遇はどうあるべきか、といった会社ごとの決まりや仕組みは、これら経営理念や経営方針を実現するためにもっともふさわしいものを考えて決定していくことになります。


 「経営理念」や「経営方針」は経営者の経営哲学や「思い」が濃縮されたまさに「会社の憲法」ということができますが、これらを従業員に理解し、十分に知ってもらうことは、会社カルチャーの醸成にとって不可欠であり、また「私は何のために働いているのか(経営目標はなにか)」を従業員に周知することは、モチベーションを持ってよい仕事をしていただくためにも必要なことでしょう。
 これら従業員に知ってもらうべき項目は、どうせ周知しなければならない「就業規則」というものがあるのですから、これに記載してしまえば一石二鳥です。

例えば・・
従業員に周知させたいこと例

などなど、経営者が従業員に「知っておいてほしい」ことはいくらでもあるはずです。

読みやすさに配慮する

 こうした考え方を推し進めていくならば、就業規則や会社内の各種規程は 「従業員に知って、理解してもらって」初めて労務管理上の効果が期待できるのですから、形式ばった難解な書き方をするよりも、「従業員にとって読みやすい、理解しやすい」書き方をすることの方がより重要だということになります。
ここで2つの規程例を取り上げて比べてみましょう。

服務規律規定例1

もうひとつ同じ内容の文章。

服務規律規定例2

条文そのものに書かれている意味は基本的に同じです。しかし、下の例では従業員の理解を深められるよう、解説がついています。またフォントや「です、ます」調である点が違います。従業員に内容を理解してもらう、ということを意識することにより、同じ内容であっても読み手に与える印象は異なってくることがお分かりいただけるでしょうか。
 他にも、よくモデル就業規則などで見かける条文には、一般になじみのない法律用語が使用されていることが多くあります。 例えば 「○○については第2項ないし第4項にさだめる。」と書いてあるとします。
法律文書を読みなれていない方ですと、この文章を見て「第2項かまたは第4項」という意味に捉える方が多いようです。しかしこれは法律に使用される用語としては「第2項から第4項まで」という意味になります。 こうした分かりづらい言い回しをわざわざ使っているモデル就業規則や雛形がいまだに多いのですが、これらも「従業員に理解してもらう」という観点から分かりやすい言い回しに変えるほうがよいでしょう。経営者が従業員に知ってほしい「思い」をきちんと従業員に伝えられるよう、読み手の立場に立って作成したいものです。



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